2012年3月25日日曜日

田んぼの溝切り

自給生活学校3回目。今回はお米が育つ環境を整える作業。自然農では一定の間隔ごとに溝を切る事が必要だ。理由は次の3つ。

  1. 田んぼ全体に水をまわしやすくする(6月~10月)
  2. 水はけを良くする(特に稲刈り前、そして冬の期間)
  3. 人が歩く通路

我々の田んぼでは、5メートルx20メートルを一区画として生徒に割り当てられるのでその境界としての役割にもなる。ただ、昨年の生徒さんたちの田んぼを受け継ぐわけなので、この溝は既に存在する。改めて溝を掘る作業は今回は省略だ。


だが、それ以外にやることがある。この時期、土を予め取置きをすることが必要だ。その土を土のうに詰めて、置いておく。4月に、苗床をつくり種を撒き、その上に被せる細かい土が必要なのだ。

採取する場所は、同時に苗床まわりの溝となる。この溝は苗床にモグラが侵入しないための防御線となるのだという。モグラは地中を掘り進んで、突然空間に出くわすとそれ以上は進まない性癖があるらしい。

一般に田んぼは、30cmも掘ると下は赤土が敷き詰めてある。水を貯めるために人為的にそういう構造にしてあるのだ。我々の田んぼは実に江戸時代から続くものだという。その時代の農民が人力で、傾斜地を平らにして、赤土を敷き詰めて、その上に黒く栄養豊かな土を覆って田んぼにした。なんと気の遠くなるような作業ではないか。


先生曰く「一説では、日本の田んぼは、万里の長城を超える人工建造物と言っても良い。」と。その通りだと感心

さて、土取の作業を終えて昼ごはん。雪のチラつく寒い日。こんな日は焚き火が有難い。火にあたりながら世間話しつつの和やかな時間だった。


そして、本日最後の作業は、田んぼ周辺の環境整備。具体的には用水路両脇を覆っている枯れ草の伐採だ。アシやクズを始め多彩な植物が枯れて、これらが水の流れに支障となっている。鎌で切り取る作業だ。以前は近隣の人が集まって、用水さらいを一斉にしたのだが、近年はそいうこともなくなり、自分の田んぼ近くは各自でやることになっているのだという。

自分の区画も決まり、いよいよ米作りが始まるのだという実感が増す一日だった。



2012年3月12日月曜日

もみがら燻炭

自給生活学校の二回目の活動。この日はもみがらをいぶして炭にする作業だ。雪が溶けた頃、コメの種を蒔いた上にこの炭を被せる。これにより、土壌改良と共に、日光をより良く吸収して土の温度上昇を促進するのだ。寒いこの地の農業ではよく行われることらしい。ビニールシートのマルチより、当然自然に優しい。

こんな有益なもみがらも実は嫌われ者らしい。処分に困っているのだ。かつてはこれを燃料にしたり、農作業に使ったりだったのだが、今はお金を払って処分をしている。コイン精米所に行けばいくらでも分けてもらえるとのことだ。


作業は、まず薪を燃やし、その上にもみがら燻炭器を被せる。この燻炭器は、こちらのホームセンターでは普通に売っているやつ。値段も安い。そして、もみがらを山のように積む。今回は25kg用の米袋6個分。これで2~3時間ですべて炭にすることができる。


ここまで作業をすれば、後は待つだけ。春のきざしに囲まれて、自給生活学校の生徒のみなさんとのんびりおしゃべりだ。東京からの参加者やこちらへの移住組やらいろいろ。隣ではこの学校のOBのみなさんも自分たちの田んぼ用に燻炭作りをしている。その方たちにも昨年の経験を聞いたり。

さて、待つこと2時間半。もみがらの外側もチラホラ黒くなってきた。そろそろ出来上がりか。

ところで、この作業に使う便利な道具、小型のスコップ。十能(じゅうのう)と呼ぶ。子供のころ石炭や薪で風呂炊きをしていたころ、この道具を使っていたなあ。確かにそう呼んでいた。10通りの使い道があるからそう呼ぶのだと今回教えていただいた。そうなんだっと納得はしたど、そんなに使い道があるかどうか、思いつかないけど、、。

十能を使って、トタン板に燻炭を広げ、ジョウロで水をかける。炭はいつまでも温度を保っていて何時間もくすぶり続ける。しっかりと常温にしておかないといけない。これを袋詰めして倉庫にしまっておいたら、翌日その倉庫が火事だったとの実話もあると言う。


春間近のこの日、気持の良い時間を過ごすことができました。ただ、気がつけば燻されたのはもみがらだけじゃなく人間もだった。虫もつかないだろうあの匂いが服に染み付いていた。


2012年3月9日金曜日

大なべ

今年も味噌作りの季節が訪れた。ニョウボ殿が案内を出したら予想を超えた数の方から希望をいただいた。当然大豆の量が多いので大きなナベが必要となる。大豆を買うつもりの茅野のお店に借りれば良いと思っていたら、何とその店は昨年末に店じまいしてしまった。

慌ててナベ探し。当方の寸胴鍋やら、近所のお釜やら総動員。中型のナベを数を集めればなんとかなると目星がついた。がその後、お知り合いの方から「大きなナベがある」と連絡をいただいた。


行ってみたらなんとも理想的なナベをお持ちでした。でも、これで何キロの大豆を炊く事が出来るのか?所有者の方も「最後に使ったのはずいぶん前だしねぇ」と首をひねる状態。


ここは一番、計算で求めよう!と。まずは直径を測る。上が62cmで底が45cm。高さがざっと26cm。円錐台の体積を求める公式はどうだったっけ?、、、とインターネット検索。そしたらちゃんとそのニーズに応えるホームページがある。ほんと世の中便利になった。数字を入れると58.9リットルと出た。これを尺貫法に直すと1斗が18リットルだから、58.9÷18=3.27 なので、3斗炊きと想定できた。

大豆を炊く時は、3倍の容量のナベが必要と聞いているので、1斗の大豆を面倒見れるナベということになった。でも、さらに問題が。味噌作りメンバーには、希望製造量を容量ではなく重量で募っている。つまり、何キロ分の大豆の味噌と。なので、大豆1斗は重量何キロ?の問題を解かなくてはならない。

そこでまたまた、インターネット検索。「大豆の比重」で良いかな?と入れてみると、いろいろヒットするけど決定版はない。けど、いろいろ見て、まあ、0.7から0.8ぐらいかなと想定。乾燥具合にも依るけど、中間を取って0.75とする。と、18 x 0.75 = 13.5 kg となりました。

 日頃、「学生時代の算数は、実社会に出たら何の役に立たない」と豪語している我が身近な人に言いたい、立派に算数は生活に役立つことを! でも、実証は味噌作り当日に。どうなるかちょっと心配。


ところで、本日はまたまた、雪となってしまった。昨日は春の陽気だったのに。暖かい寒いを繰り返して春になっていくのでしょう。味噌作り当日は晴れることを願わざるを得ない。